今回の記事では、私が通った正道会館などのフルコンタクト空手や、伝統派空手の練習(稽古)について書きます。
フルコンタクト空手の練習(稽古)について
(後日追記:今私は、ロシア武術システマを習ってます。システマの記事はこちら。「リンク」)
以前の記事に書いたように私は学生時代に正道会館の地方道場に初段になるまで通っていたのですが、社会人になってから1年間ほど極真会館の地方道場にも通った経験もあります。どちらの空手道場でも同じ練習内容だったので、フルコンタクト空手の練習内容は基本的には以下の内容と考えてよいと思います。
1.礼および黙想
稽古の開始時間になると、先生が正面に立ち、道場生は正面に向かって横並びの列を数列作って整列します。この際、高い帯順(段や級が高い順)で並びます。
そして、全員正座してから、先生の号令に合わせて礼をして黙想をします。黙想とは、正座して拳を軽く握って太腿の付け根あたりに乗せて背筋を伸ばして正面を向いた状態で、目を閉じて心を静めることです。その後、先生の号令で黙想を終わって稽古開始となります。
2.準備運動
黙想が終わると、先生の号令に合わせて、「セイヤ!セイヤ!」や「ショイヤ!ショイヤ!」などと各自で掛け声を出しながら、準備運動をします。
まず、立った状態で、足のつま先、足首、膝、股関節、腰、背骨、肩、肘、手首、首のストレッチをします。
次に、床に座って、両足を揃えての前屈や、両足を左右に大きく開いて前方や左右に上体を倒すなどの股関節周り中心の様々なストレッチをします。
ストレッチは、ケガ防止の意味もありますが、自分の姿勢を崩すことなく攻撃するために非常に重要です。例えば、股関節周りが硬いと、ハイキック(上段回し蹴り)を蹴ることはできないし、ローキック(下段回し蹴り)やミドルキック(中段回し蹴り)を蹴る場合でも、威力が出ないばかりでなく体が傾きがちになって相手に察知されて避けられやすくなります。
準備運動が終わると、体が温まり、「さあ稽古をするぞ!」と気合が入ります。真冬の道場は床が非常に冷たいものですが、体の硬い私は「イタタ!イタタ!」と思いつつ冷や汗をたらしながら股関節周りのストレッチをするので、準備運動が終わるころには足先もポカポカになりました。
3.基本稽古
準備運動が終わると、先生の号令に合わせて気合を入れた掛け声を出しながら、基本稽古をします。
基本稽古では、一連の技から成る「型」の基本的な技(正拳突き、裏拳打ち、手刀打ち、肘打ち、各種の受け、前蹴り、横蹴り、各種回し蹴り、後ろ蹴りなど)を、移動せずにその場で1つ1つ行います。例えば、「三戦立ち」という立ち方をして正拳突きを連続して行ったり、「騎馬立ち」という立ち方をして裏拳打ちを連続して行ったり、「後屈立ち」という立ち方をして前蹴りを連続して行ったりします。
4.移動稽古
基本稽古が終わると、先生の号令に合わせて気合を入れた掛け声を出しながら、移動稽古をします。
移動稽古では、前屈立ち、後屈立ち、騎馬立ちなどの基本的な立ち方をしたままで移動しながら、基本稽古でした技を行います。これらの基本的な立ち方の説明は省略しますが、どれも腰を落とした立ち姿勢なので、その腰を落とした姿勢のままで腰位置を上げることなく移動しながら正拳突きや前蹴りなどを行う移動稽古は、かなり筋力が必要なキツイ稽古です。そのため、移動稽古の稽古時間が長いときには足がガクガクになる場合もありますが、その分良い筋トレになります。
5.ミット打ち
移動稽古が終わると、二人組になって一方がミットを持ってミット打ちをします。
ミットは、中にスポンジが入った分厚い枕みたいな物で、相手に持ってもらって全力での突きや蹴りを安全に練習するための道具です。ミット練習をすることで、止まった相手や動く相手との間合いや、効果的にダメージを与えられる突きや蹴りの練習ができます。また、例えば左正拳突き→右ローキック→左膝蹴りなどのコンビネーション(連続技)を繰り返し行うことで、無意識にコンビネーションが出せる練習になり、又、持久力(心肺機能)のトレーニングにもなります。
6.約束組手
ミット打ちが終わると、約束組手をします。
約束組手は、二人組になって、決まった攻撃を一方がして、それを受けた他方が決まった攻撃を返す稽古です。例えば、一方が前蹴りをして、他方がその前蹴りを腕で受け流してハイキック(上段回し蹴り)を返すというものです。約束組手をすることで、相手の攻撃に対して間髪入れずに効果的な攻撃を返す練習になります。
7.自由組手
約束組手が終わると、自由組手をします。
自由組手は、二人組になって自由に攻防を行う組手です。但し、相手の力量に応じて力加減をしてお互いケガをしないように配慮します。
自由組手では、例えば2分毎にどんどん相手を代えて稽古するので、格上、同格、格下の相手と自由な攻防ができ、非常に良い練習になります。また、自分の得意技や得意なコンビネーションの練習もでき、楽しい練習でもあります。
8.補強(筋トレなど)
自由組手が終わると、拳立て(拳を握った状態での腕立て)、腹筋、スクワットなどの筋トレを、全員で掛け声を掛けながら行います。また、サーキットトレーニングを行って、持久力(心肺機能)のトレーニングを合わせて行うこともあります。
9.ストレッチ
補強が終わると、準備運動と同じようにストレッチをします。
一連の稽古が終わって体が温まっているので準備運動のときよりもかなり体が柔らかくなっており、このときに頑張って大きく曲げることで効果的に体の柔軟性が向上します。また、稽古による筋肉疲労を低減できます。
10.礼、黙想および道場訓
稽古の初めと同様に正座して礼をしてから黙想をして、その後、道場訓を全員で言って、稽古が終了します。
稽古終了後は、全員で雑巾がけなどをして道場を清掃します。
11.型稽古
昇級審査(昇段審査)前の1カ月間ほどは、型の稽古をします。道場によっては型の稽古を毎回するところもあると思います。
伝統派空手の練習(稽古)について
伝統派空手の稽古も、上記したフルコンタクト空手と同じように、準備運動→基本稽古→移動稽古→組手→補強(筋トレなど)の稽古を行います。
しかし、以前の記事に書いたように、伝統派空手は、顔面へのパンチが禁止で相手にダメージを与えることを評価するルールのフルコンタクト空手とは異なり、顔面へのパンチが可能で相手に綺麗に攻撃を加えることを評価するルールなので、組手等の稽古内容はフルコンタクト空手とは大きく異なります。 具体的には、フルコンタクト空手の組手は、比較的近い間合いでガード(顔面を守るための腕)を下げて実際に或る程度強く叩いて蹴り合う組手となる一方で、伝統派空手の組手は、遠い間合いでステップしながら間合いの駆け引きをしてから、一気に飛び込んで突き(パンチ)または蹴りを綺麗に打ち込んで止める(寸止めする)という組手となります。
また、伝統派空手では、フルコンタクト空手とは異なり、型(形)の試合があります。このことから、伝統派空手の稽古では、型(形)の稽古も十分に時間をかけて行います。
まとめ
・フルコンタクト空手の基本的な練習(稽古)内容は、礼→準備運動→基本稽古→移動稽古→ミット打ち→約束組手→自由組手→補強(筋トレなど)→ストレッチ→礼、です。
・伝統派空手も、基本的には同じ練習項目ですが、フルコンタクト空手とのルールの違いによって(伝統派空手は、顔面へのパンチが禁止で相手にダメージを与えることを評価するルールのフルコンタクト空手とは異なり、顔面へのパンチが可能で相手に綺麗に攻撃を加えることを評価するルールなので)、その内容は違ったものとなります。
・また、伝統派空手では、型(形)の試合があるので、型(形)の練習も入念に行います。
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